映画「純喫茶磯辺」
「純喫茶磯辺」
ミリオン座。名古屋初日。
予告編で見た麻生久美子のミニスカ衣装がインパクト大。目が釘付けになったのは僕だけじゃないはず。僕の見立てでは、それ目当てでこの映画に来る客が70%以上(推定)。沢木耕太郎の「銀の街から」にまで取り上げられていたが、どちらかというと地味な映画。今日もそれなりに客が入っていたのはきっとミニスカ効果だろう。
もちろん僕はミニスカ目当てではなく、「机のなかみ」の吉田恵輔氏が監督、脚本なので観にいったのである。「机のなかみ」はDVDで観たのだが、これがかなり面白かった。吉本のあべこうじが主演でチープな映画かと思いきや、笑わせながらもコミュニケーションの齟齬を屈折感炸裂させながら描いていた。前作では、いい加減だった主人公が最後に男気を見せ、人が良さそうなイケメンが実は優柔不断などうしようもない奴、というオチも良く、小粒でもピリリと辛い映画だったのだ。そんな吉田監督が、キャスティングも宣伝もメジャー感をアップさせて持ってきたのがこの「純喫茶磯辺」なのだ。
ちなみに、吉田氏は僕と同世代。よって、店に貼ってある工藤静香のポスターや、麻生久美子が登場時におもむろに読み出す「カメレオン」(バカヤンキーマンガ)などにはニヤリとさせられた。
主要な登場人物は3人。裕次郎とその娘の咲子、バイトの素子。
主人公の裕次郎は宮迫博之。「蛇イチゴ」ぐらいしか観たことがないが、この等身大のオヤジっぷり、見事な腹の出具合はハマり役としか言いようがない。(・・・と思ったら、あの腹は詰め物をしていたらしい。本物じゃないのか?)。
裕次郎の娘、咲子は仲里依紗。仲里依紗は「時をかける少女」アニメ版でヒロイン真琴役だったらしい。知らなかった。これがまた典型的な現代っ子的な物言い。「ウザい」とか「信じられない」とか「死ね」とか。今時の女子高生はこんなものなのでしょうか。「散々不機嫌にブーたれているのに写メ撮る時だけは可愛くポーズ取る」シーンなど、爆笑ポイントは多い。ファッションモデル出身にしてはルックスが中途半端だが、それなりにかわいらしくいい味を出している。
素子は前述の麻生久美子。あまり思い入れの無い女優だが、今回はつかみどころの無い女を好演。男を混乱させる女というのはよくいるものだが、それを150%に増幅したかのようなキャラクター。平気でサボる反面、急に頑張ってみたり、気があると見せかけて、引いてみたり。「そこでそう来るか?」という行動の連打。戯画化はされているが、これは監督が、そんな女性達から今まで受けてきた仕打ちを吐き出しているかのように見えた。
内容としては壮大なテーマやシリアスな問題があるわけではなく、会話の妙を楽しむコメディとなっている。ライトな仕上がりながら、意地悪や悪意を散りばめており、最大公約数的な人でも、屈折している人でも、誰でもが楽しめるのでは。
特筆したいのは居酒屋に3人が揃うクライマックスのシーン。そこで素子がある事実を明らかにするのだが、これが衝撃だった。どんでん返しというものは定番だが、ここまでのインパクトというのはそうそう無い。スクリーンの中の裕次郎や咲子もドン引き状態だったが、映画館全体もドン引きな雰囲気に包まれた。また、この時の裕次郎のリアクションも絶妙。これはなんとしてでも劇場で是非体験して頂きたい。
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